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砕氷船は北極海や南極海

凍結河川などの高緯度地域での氷水面で活動するために、船体や推進器に特別な設計が取り入れられている。

砕氷船は「ラミング」(Ramming、衝角で突いて押し込む)と呼ばれる前進方法を採ることがある。スクリュー・プロペラが生み出す前進推力が砕氷によって阻まれ船体が停止した場合に、一度後進をかけて後ろへ下がり、改めて全力前進によって氷を砕き、これを何度も繰り返して航路を開く方法である。「チャージング」(Charging)とも呼ばれる。

初期には外輪によって氷を砕きながら進む砕氷船や、米国や欧州の砕氷船のように船尾だけでなく船首にもスクリュー・プロペラを備えて氷を砕くことに利用する船もあったが、21世紀の現在では船尾にのみスクリュー・プロペラを備える砕氷船だけである。

スクリュー・プロペラに氷塊が接触してプロペラ先端が氷をらせん状に刻んでゆく「ミリング」(Milling)と呼ばれる状態になると、氷を削る「アイストルク」分だけエンジンや電動機による回転力が減殺されて回転数が低下し、アイストルクがプロペラ駆動力を上回れば回転が停止して推進力が奪われる。このため、ミリングに抗して回転を持続するためのアイストルクを上回る強力な動力機関が必要となる。
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また、ラミング時には前進後進の繰り返しによる氷の乱れから、通常の前進時にはプロペラまで到達しない氷塊がプロペラに衝突することがあり、この時の衝撃に対応するためにプロペラを特に強固に造ったり、万一損傷を受けても推進力を全て失わないように複数の推進器を備えたり、乱流を減らすためにプロペラの回転を止めずに済む可変ピッチプロペラとする、プロペラをダクトで覆うなどの工夫がなされている。プロペラも修理が少しでも簡単に済むようにプロペラ翼単位で交換出来るように工夫されているものもある。また、この時生じるトルク(Ice impact torgue)がプロペラ翼、ボス、推進軸、推進機関へ与える繰返し疲労についても考慮される必要がある。

船首部は過去にはV字型のものが多かったが、V字型船首は進路前方の氷板の一部を割り開くことには優れていても、割られた氷の大きな塊はそのまま船体への抵抗を生み出すためにそれらを排除しながら進むための余分の推進力を必要とする。21世紀の近年ではV字型を改良した「スプーン型船首」や「バース・バウ」(Waas bow)を備える船が登場している。両船首共に船体が氷に乗り上げた力で、氷塊を小さく砕くことで船体との摩擦抵抗を減少させる。スプーン型船首では「リーマー」(Reamer)と呼ばれる船体幅以上に船首幅を広げた部分を備え、船首部を大きな矢じり形にしたものが多く、また、ドイツのWaas博士の考案したバース・バウでは船首船底部をキールに沿って左右に強い斜面とすることで氷塊そのものを左右に排除する機能を備えたものである。

ハル・ウォッシュ・システム(Hull wash system)は、海水を取り込んでポンプで船首部の氷板上に噴射して船首と氷板との摩擦を減らす装置である。これはスウェーデンの砕氷支援船「Oden」に採用されており、日本の2代目砕氷船「しらせ」にも搭載が予定されている。

考案中のアイデアとしては、セミサブ型として、船首をバルバス・バウのように下方に大きく突き出させて、氷塊を下から上に割ってゆくものや、氷海での貨物船向けの船首設計として、船首上部と下部に共に突出部を作る事で貨物満載時と空荷の時の両方で砕氷能力を持たせるものがある。大量の気泡を船底部から放出して船体前面に渡って氷との接触を減らすというアイデアも考案されている。

360度推力を自由に変更出来るポッド型推進器の採用によって氷海啓開作業を迅速に行なう船団護衛用砕氷船がある。通常の内燃機関からの回転推進軸を傘歯車によってスクリュー・プロペラまで伝達するものと、ポッド内部に電動機が内蔵されたものがある。ポッドを採用しない場合でも、電動機によって正転逆転を含めて回転力が自由になるため、主機関での回転力を一度、発電機によって電力に変換して、電動機を駆動する船が砕氷船に限らず多数登場している
日本の砕氷船2代目「しらせ」では船尾の舵取付部に「アイスホーン」(Ice hoon)と呼ばれる角状の装備が付いている。


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2009年06月01日 15:35に投稿されたエントリーのページです。

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